新国際エンゲージドブディズム研究会

2004年、国内外問わずに青少年問題に取り組んでいる「全国青少年教化協議会」と、人権と平和に主眼をおいた国際協力活動に取り組む「アーユス仏教国際協力ネットワーク」が中心となり、さまざまな社会問題に対して仏教者がどのように関わることができるのかを、現代社会のコンテクストにおいて探求する「エンゲイジド・ブッディズム研究会」が始まりました。もともとそれぞれの課題に対して個々に取り組んできた仏教者たちが、「エンゲージド・ブッディズム」という概念で相互に認識し合い、学び合い、トラウマケア・自殺防止、ホームレス・高齢者・震災被害者への寄り添い、脱原発・脱軍国主義の運動、自然を大切にする精神文化の再生など色々な分野や社会問題への関わりを深めてきました。これらの活動や運動は、一般的な「葬式仏教」のイメージとは大きく掛け離れたものです。 本来の仏教実践の姿であるこの刷新と再生の運動における日本仏教の次の一歩は、心を同じくして社会活動に取り組む海外の仏教者や宗教者と繋がることでしょう。今日、国際的な仏教交流団体やネットワークが多く存在しますが、その「交流」の性格は東アジアの「金持ち」の仏教者から「貧しい」南アジア・東南アジアの仏教者に物質的援助を行うことに限定されがちでした。JNEBは、他国の仏教者との「水平」の交流を通して、地球温暖化や民族・宗教間の紛争といった緊急な問題への対応など幅広い分野で連携した行動を生み出すことを目指しています。実際、仏教国と言われる多くの国々では、権力や既得権者たちへの影響力を発揮するだけではなく、仏教に根ざし貧困やマイノリティはじめ様々な「苦」に寄り添い、開発や人権、平和の取り組みにおいても、中核として社会をリードしています。これは他の宗教にも言えることです。 宗教者、研究者、NGOスタッフ、ジャーナリスト、学生など、さまざまな人たちがこの研究会にかかわっています。社会の階層化、右傾化が急速に進む現代社会の中で、こころと社会の平和実現をめざす方々の参加をお待ちしています。 今年の春に日本を訪問する海外の仏教者と色々な話題、問題、活動について、是非語り合ってください! もちろん通訳を用意しますが、英語や海外仏教者の母語での国際コミュニケーションスキルも磨いていきたいと思います。 2019年春期シリーズ 6月26日(水)18:30-20:30 覚醒の文化: いかにして仏教が各国および世界における万民共存の道を示すことができるか ゲスト: ハルシャ・ナバラトネ氏 国際エンゲージド・ブッディズム・ネットワーク(INEB)会長 セワランカ財団(スリランカ)会長 先日のスリランカでの教会爆破事件、ニュージーランドでのモスク銃撃事件は世界的な民族・宗教紛争の端的な例である。 このような襲撃事件や世界的な紛争の背後には、どのような力が働いているのか。 文明の衝突の時代に本当に突入したのだろうか。 より深く見ていくと、スリランカのイスラム共同体には、同国に入ってきた新しい原理主義的イスラムと、何世紀もの間、他の宗教グループと共存してきた昔ながらの土着化したイスラムとの間の断絶など、複雑な亀裂があることが分かる。 また仏教界においても、ミャンマーなどに見られる仏教民族原理主義という新しい仏教の姿と、瞑想、非暴力の生活様式、万民の社会正義を提唱する超教派の国際仏教の主要な流れの間に確執が生じている。 政治経済大国、仏教国として日本はこれらの問題に関して、どのような役割を果たすべきか。 日本国内においても、主に日本の独自性を強調する伝統的な保守主義と、三十年来の経済と社会の閉塞感の中から出現した新しい進歩的な文化との間に確執がないわけではない。 このような状況の中で国内および国際社会で生じている亀裂に対処するために日本の仏教界はどのような役割を果たすべきか。 これからも社会から身を引いて日本で受け継がれてき保守主義を暗黙の内に支持し続けるのか、それとも自己変革を遂げ、社会正義と公平な温暖化対策に取り組む国際運動に貢献しようとするのか。 今回の特別ゲスト・スピーカー、ハルシャ・ナバラトネ氏は、本国スリランカでこれらの問題、具体的にはイギリス植民地支配に反対したシンハラ仏教運動が長年の悲惨な内戦の中でタミル人ヒンドゥー教徒に対する民族的排他主義運動に変質してきた問題に生涯をかけて取り組んで来た。 国際エンゲージド・ブッディズム・ネットワーク(INEB)会長として、彼はあらゆる宗教・民族間で覚醒の文化を実現するための地域・国際レベルの対話にも積極的に関わってきた。 文明の衝突は避け難いものではない。 仏教者にとって覚醒の文化は、不可分の自他を利する日常的な実践にほかならない。 時間:                               18:30 ハルシャ・ナバラトネ氏 ご講演 19:30自由対談 20:30 終了  参加費: 無料, 事前にご登録下さい。 問い合わせ・申し込み先: ジョナサン・ワッツ ogigaya[at]gmail.com 会場: 心光院 106-0044東京都港区東麻布1-1-5 電話: 03-3583-4766 5月21日(火) エコ・ダルマ:環境危機のための仏教の教え 講師:デビッド・R・ロイ氏 三宝教団(曹洞・臨済禅流れ) 教師 文教大学国際学部元教授 著書:「EcoDharma: Buddhist Teachings for the Ecological Crisis」(2019年) 発表は英語で、和訳がありContinue reading “新国際エンゲージドブディズム研究会”

講演会:失われた故郷からいのちを問う

~福島県楢葉町の早川住職に聞く~ お話:早川篤雄さん(浄土宗宝鏡寺住職) 早川篤雄師は長年、地元で教職を務めながら、反公害、反原発の運動を、情理ともに立った価値観と方法論で続けてこられました。同師の原点には、戦前・戦中、積極的に国家の侵略戦争に加担してきた、日本の仏教界への批判や、大切な寺の鐘を武器づくりのため徴用され、父まで戦地に追いやられた、個人的に痛切な記憶もありました。楢葉で60 0 年続く古刹の住職として郷土を見つめてきた早川師は、原発事故で離散させられた人びとの暮らしの再建を、半ば悲観しつつ、しかし平和で自然に恵まれた生活を取り戻す闘志を失わないという、かつての田中正造のような魂をおもちです。同師の言葉に耳を傾け、これからの日本が進むべき道を共に考えたく、震災後、毎週いわき市で診療活動を続ける本田と、難民支援、原発・エネルギー問題等に取り組んでいる大河内が、関係諸団体の協力を得て開催します。多くの方々のご来聴をお待ちしております。 日時:2016 年9月3日(土) 午後4 時~6 時 会場:定泉寺〒113-0021 東京都文京区本駒込1-7-12 http://www.josenji.or.jp/ 南北線「本駒込」2番出口正面、三田線「白山」A3出口7分、千代田線「千駄木」1番出口12 分 JR 御茶ノ⽔・駒込・巣鴨・⻄⽇暮⾥からバスもご利⽤いただけます。 主催・呼びかけ人:本田徹(認定NPO法人シェア国際保健協力市民の会代表)、大河内秀人(浄土宗見樹院住職) 共催: 原子力行政を問い直す宗教者の会/JNEB(JAPAN NETWORK OF ENGAGED BUDDHIST) 協力: 定泉寺/浄土宗東京教区豊島組教化分団/シェア国際保健協力市民の会/足元から地球温暖化を考える市民ネットえどがわ/AYUS=仏教国際協力ネットワーク/ひとさじの会 参加費:500 円(カンパも歓迎です) 申込・問合せ: 大河内秀人(〒112-0002 東京都文京区小石川3-4-14 見樹院) E メール:hit@nam-mind.jp FAX:03-3815-7951 携帯:090-3213-4575 お名前、ご連絡先を添えて、Eメール・FAX 等でお申込みください。

2016年INEB総合国際会議

集まりくる流れ:ホリスティックな開発(かいほつ)への取り組み 平和と持続可能性のための諸宗教対話 2016年1月22日~27日 スリランカ、コロンボ市及びアヌラダプラ市 click here for information in English 1月22日夕方:開会式と公開シンポジウム(コロンボ市) 公開シンポジウムの開催をもって今回のカンファレンスが正式に開始となります。国連ミレニアム開発目標 (MDGs) とその成果、反省、また国連持続可能な開発目標 (SDGs) における新たなプロポーザルに基づいてシンポジウムは行われます。スリランカの首相、Maithripala Sirisena による開式挨拶、続いて国連開発計画 (UNDP) の代表者によるこれまでのMDGsまた今後のSDGsについてのスピーチがあります。その後、アメリカの仏教学者であり環境保護活動者ジョアンナ・メイシー氏、またスリランカのサルボダヤ運動創始者であるAT・アリヤラトネ氏、INEBの創始者であるタイのスラク・シバラクサ氏のパネルディスカッションが行われます。食事の後、カルチャーショーをもって終了。 INEB総合国際会議1月26-27日(アヌラダプラ市) 今回のINEB総合国際会議のメインイベントは、Converging Streams: Engaging for Holistic Development and Inter-Faith Dialog for Peace and Sustainability(集まりくる流れ:ホリスティックな開発(かいほつ)への取り組み‐平和と持続可能性のための諸宗教対話)というテーマで、2016年1月26,27日にアヌラダプラ市のアイランダーセンターにて開催されます。二年に一度行われるこのイベントは今回、諸宗教のリーダーを招き、積極的にプログラムに参加してもらいます。このイベントはINEBの主要プログラムを基本に企画され、様々な団体で現在活動している参加者の方々が情報を交換しあい、さらに活動を展開する機会を提供します。このカンファレンスでは、共通の課題を地域の政治的背景にとらわれない広い見解で認識すると同時に、参加者が共に協働し交流を深める機会を得ることができます。 両日ともに、午前中の基調講演とパネルディスカッションから始まります。午後は両日ともインタラクティブセッションとなり、World Café やOpen Spaceのスタイルで参加者が会議のテーマについて各自の見解、アイデアを共有します。これらのセッションは、参加者がトピックを挙げ、他の参加者を募りグループディスカッションをするというような、インフォーマルな形にこだわらないスタイルで行われます。またこのセッションの時間では、既存のINEB関係団体が集い、コラボレーションをさらに進めることもできます。またINEB全般の協働プラットフォームのアイデアを考えるセッションも行われます。その後、最後は参加者全員が集まり、サマリーセッションをします。カルチャーパフォーマンスと交流親睦会からなる閉会式は、1月26日に行われます。 他のプログラム 1月17-18日:「AからZまで」地球温暖化の問題の総合的ワークショップ (ファシリテイター Nigel Crawhall南アフリカ)  1月19-21日:ディープ・エコロジーワークショップ(ファシリテイター Joanna Macy米国) 1月22日午前:上座部仏教の比丘尼系譜再生運動のシンポジウム Diyatha Uyanaに近いGothama Thapo Wanayaに於いて、スリランカの比丘尼、タイのBhikkhuni Dhammananda、台湾のBhikkhuni Chao Hweiによる、上座部仏教・テラバーダの比丘尼の系譜の再生についてのディスカッションを行います。 1月23日午前:TheContinue reading “2016年INEB総合国際会議”

上映とトークの集い

世界に広がる新しい仏教の潮流 エンゲージド・ブディズムの可能性 11月23日(月・勤労感謝の日) 会場:見樹院 (東京都文京区小石川3-4-14) 日本の多くの人々にとって仏教は、弔いや先祖供養の文化、あるいは心の持ちようの問題として捉えられています。それも役割の一つであるかもしれません。しかし、世界に眼を向けると、アジア地域のみならず欧米やアフリカにおいても、平和・環境・人権・開発など様々な社会課題を解決する上での哲学、生き方として力を発揮しています。それを一括りにするのが“エンゲージド・ブディズム”(社会参画する仏教)という概念です。 このたび完成した、International Network of Engaged Buddhists(INEB)創設者スラック・シワラック師の映画を観て、日本でEngaged Buddhismを実践する僧侶に話を聞き、感想や実践についてシェアリングし、これからの仏教、日本社会、国際社会について語り合いたいと思います。 プログラム 【第1部】 16:00 開会・挨拶・映画紹介と趣旨説明 16:15 「スラックとプラチャーの 音もなく慈愛は世界にみちて with 辻信一」上映(62分) 17:30 JNEBメンバーのトーク&2016年1月のINEB総合国際会議ガイダンス 【第2部】 19:15〜21:00 エスニックダイニング&フリートーク 「それぞれのエンゲージド・ブディズム」 映画 「スラックとプラチャーの 音もなく慈愛は世界にみちて with 辻信一」 「アジアからの叡智」をテーマにナマケモノ倶楽部世話人で文化人類学者の辻信一さんが世界のリーダーたちにインタビューする映像シリーズ最新作。エンゲージド・ブディズム運動に関わってきた社会活動家のプラチャー・フタヌワットさん。バンコクのSNFオフィスそしてバンコク郊外のウォンサニット・アシュラムでの美しいインタビュー映像、瞑想ワークショップシーンを収録。対立を超えて、世界と自分にどう向き合っていくのか。日本、そして世界が暴力化、集権化するなかにあってぜひ多くのみなさんに観ていただきたい映画です。「スラックとプラチャーの音もなく慈愛は世界にみちて」予告編: ◇参加費:第1部:700円、第2部:2000円(インド・タイ料理/ドリンク付) ◇共催:JNEB(日本エンゲージド・ブッディスト・ネットワーク)/見樹院 ◇協力:ナマケモノ倶楽部/ジュレー・ラダック ◇申込・問合先:見樹院・大河内hit@nam-mind.jp、 03-3812-3711、090-3213-4575 会場・見樹院 化学物質を使わない天然素材のみの建材で作られた、100年定期借地権付き分譲住宅を併設した複合施設。アレルギーや過敏症のいのちにも優しく、日本の森林を守る事業とも連動した「天然住宅」事業の一つ。 【アクセス】 最寄駅は、地下鉄「後楽園」または「春日」です。 JR「飯田橋」東口からタクシーで1メータ程度です。「小石川の伝通院」を目指してください。 都営バス「伝通院前」からは徒歩5分ほど。 [都02]大塚駅<10分>茗荷谷<5分>【伝通院前】<5分>春日(後楽園)<10分>上野広小路<2分>御徒町駅<25分>錦糸町駅 [上69]小滝橋車庫<10分>高田馬場<20分>【伝通院前】<5分>春日(後楽園)<10分>上野広小路<1分>上野公園 ◆丸ノ内線・南北線[「後楽園」からの道順(徒歩約12分) 地上改札を出て、左手の礫川公園側へ。礫川公園を抜けて春日通りを左へ坂をのぼっていきます。左側に信号があるので、駅のある側と逆側にわたり、坂道の右側を上っていきます。目印は、左手に中央大学理工学部、もっと坂を上っていくと右手に富坂警察署があります。富坂警察署を過ぎて伝通院の交差点へ。伝通院の交差点に来たら、山門に向かって右折します。山門に突き当たったら左折して、直進します。しばらく歩くと右手に表町会防災倉庫という白い建物があり、そのすぐ先のT字路を右折し、40mほど歩いて左側にある法蔵院の手前の路地を入り、突き当りの正面が見樹院です。1階入り口から入り、2階が今回の会場の本堂です。 ◆三田線・大江戸線「春日」からの場合(徒歩約15分) 「5」または「6」出口から中央大学理工学部方面を目指し、春日通りを上り、あとは後楽園駅からと同じ。 ★駐車場のご用意はありません。周辺のコインパーキングをご利用下さい。

アジア発エコロジー:スラック・シワラックINEB創立者

スラックさんに聞く、しあわせの開発学 今こそ、マインドフルな生き方を アジアを代表する環境・平和活動家であるスラック・シワラック氏。これまでタイの人々とともに、文化復権運動、教育運動などを展開する一方で、若い世代とともに社会的起業を通じたローカル運動にも取り組んできました。ティク・ナット・ハン氏やヘレナ・ノーバーグ=ホッジ氏、ダライ・ラマ法王とも親交が深く、ナマケモノ倶楽部が2009年より取り組む映像プロジェクト「アジアの叡智シリーズ」でも第5作(現在制作中)に取り上げられています。世界が争いと憎しみであふれかえりそうな今日、私たち一人ひとりの心のありようが問われています。スラック師による明快な「開発(かいほつ)」論を聞きながら、私たちの内なる目を澄ませてみませんか。私たちはみな、幸せになるために生まれてきたのです。 日時:2013年10月22日(火)18時半開場、19時~21時 会場:見樹院本堂(文京区小石川3-4-14) http://www.nam-mind.jp/access.htm 参加費:予約1200円、当日1500円(『しあわせの開発学』付) 定員:70名 ゲスト:スラック・シワラック氏(タイ、環境・平和運動家、作家) お申込み・お問合せ:ナマケモノ倶楽部 info@sloth.gr.jp 共催:見樹院 http://www.nam-mind.jp/ ナマケモノ倶楽部 www.sloth.gr.jp 協力:JNEB(日本エンゲージド・ブディズム・ネットワーク)http://jneb.jp/ ゲストプロフィール:スラック・シワラック (Sulak Sivaraksa): 1933年生まれ。歯に布を着せぬ言論活動で知られるタイの代表的な知識人。 社会批評家、学者、出版者、活動家として、1960年代末より、仏教僧侶や学生 活動家たちと共に、奉仕活動を軸とする、農村の自立発展のための多数の プロジェクトに参画すると同時に、多くのNGO・社会的起業を創設してきた。タイ語と英語による書籍と論文は100点以上にのぼる。1989年他の国際仏教指導者と一緒にInternational Network of Engaged Buddhists (INEB)を創立した。2013年のINEB大会の情報 代表的な英文著作に、「Seeds of Peace: A Buddhist Vision for Renewing Society (平和の種――社会変革のための仏教的ヴィジョン)」、「Conflict, Culture, Change: Engaged Buddhism in a Globalizing World (紛争・文化・変化――グローバル化する 世界のエンゲージド・ブディズム)」など。1995年、もうひとつのノーベル賞といわれる 「ライト・ライブリフッド賞」受賞。2011年、第28回庭野平和賞受賞。 http://www.sulak-sivaraksa.org/ (英語) 『しあわせの開発学ーエンゲージド・ブディズム入門』 (スラック・シワラック著、辻信一訳、ゆっくり堂) http://namakemono.shop-pro.jp/?pid=32854498 訳者あとがき: http://www.sloth.gr.jp/column/tsuji/sulakbook/  

INEB大会2013

平和と持続可能な社会を求める宗教者間対話 2013年10月27日〜11月4日マレーシア、クアラルンプール 私たちは、環境破壊、経済危機、心の問題など様々な問題に直面していますが、これらの問題を次世代にまで引き継がないためにも、今までとは違う新しい方向に向かって社会を進める必要があるでしょう。そしていま、その新しい方向を見つけるために、宗教が築いてきた伝統に大きな期待が寄せられています。宗教は、私たちが物質主義を越え、世界への理解や、価値観、行いを研ぎ澄ますことを促してくれます。また宗教を教える師や実践者は、一人ひとりが変わることが、世界の変革の根幹となることを既に覚っているからです。 しかし、宗教は、偏狭な愛国主義に陥るのではなく、国家や文化に対して先駆的な影響を及ぼしていくためにも、これまで以上に共同して取り組んでいく必要があります。特にアジアでは、仏教とイスラームという二大勢力が、それぞれのアイデンティティ政治から離れ、公正であり持続的であり平和な共生社会の実現に向けて協働をしている点においても、多宗教間の協働は重要な意義を持ち始めています。 今回の会議では、主に以下の点に焦点を当てます。 仏教とイスラーム間の理解を促し、これからの協力体制を構築する。 宗教間対話を促進し、各宗教が共通して抱える課題に関する意見交換と協力体制を進める。 善知識の精神と他宗教者との交流を広げ、祝福する。 会議開催期間中では、様々なイベントが企画されています。 多宗教者によるユース・キャンプ(10月27日〜31日) 伝統と現代性:移り変わる世界の中における精神性と宗教 紛争変革 信心、気候、エコロジー:気候変動に対する宗教者としての対応 核エネルギーと代替エネルギーへの対応 幸せの追求:善き人生と「国民総幸福量」への取り組み 孤独、病、死:精神的ガイダンス 空の半分:社会における女性 ヤッピー、ヒッピー、落ちこぼれ:若者のリーダーによる新たな挑戦 食することは、宗教的行為である:気づきと食のシステム スピリチュアルアート イベント予定: 10月27-31日:宗教間意識青少年会議/Interfaith Awareness Youth Camp 10月30-31日:イスラム・仏教見学/Buddhist Muslim Study Tour 11月1日:イスラム・仏教協力会議/Buddhist-Muslim Collaboration Platform 11月2-4日:INEB総合会議/INEB General Conference 上の具体的英語情報をこのリンクご覧ください 連絡先: 国際方:INEB事務所(タイ国バンコク市)TEL (+66 2)438-9331-2、FAX (+66 2) 860 1278, Email : conference@inebnetwork.org Website http://www.inebnetwork.org 日本国内:Japan Network of Engaged Buddhists (ワッツ・ジョナサン代表)Continue reading “INEB大会2013”

2012年INEB理事会と公開シンポジウム 縁起の智慧と幸せの教え The Wisdom of Interbeing and The Art of Happiness

—世界のエンゲージドブディストと描くポスト3・11— An International Engaged Buddhist Vision for Post 3/11 Japan 2011 年3 月11 日の東日本大震災は、現代社会における経済開発中心主義が行き過ぎてしまったことを露呈し、日本社会にとっての重大な分岐点となりました。 日本は、アジア諸国の中でも近代工業社会として高度な発展を遂げた最初の国です。しかし、そのためには人とのふれあいを大切にする農村社会や伝統文化は蔑ろにされ、代わりに仕事中毒、大量消費主義、発展と成功を求めるとめどない意欲が支える、人間性が阻害された都市生活が築かれました。日本の豊かな自然環境は、次第にこの社会のうねりに飲み込まれていき、新たに放射能汚染問題が今日の日本全域に拡がっています。 日本には、1400 年を超える豊かな仏教の歴史があります。しかし、現代日本においては、その歴史の中で培われてきた「足るを知る」という精神や人と自然との調和という仏教的価値観は何の役割も果たしていません。そして日本の仏教僧や寺院もまた、その役割を十分に発揮していません。日本はアジアの中でも近代化を成し遂げた国の代表として先陣を切ってきましたが、他のアジア諸国も様々な問題に直面する日本と同じ末路を辿らなければならいのでしょうか。すでに日本と同じ混乱を迎えている西洋はどうなるのでしょうか。 近年、仏教界からの新しい発言は、国民総幸福指数を学んでいる経済学者、瞑想に幸せに生きる実証可能な技術を見出そうと研究している科学者、古来伝わる仏教の智慧が現代社会の力学と相関関係性を表していることを再発見しているシステム理論家など、近代主義の支持者達からの注目を集めています。仏教は、現代社会が持つすべての問題に対し答えを提示することはできないかもしれませんが、仏教が説く縁起の智慧と幸せの教えは、諸問題に取り組み、後世に幸福をもたらす道筋を描く為の確かな道しるべとなるはずです。 今回のシンポジウムには、様々な分野で活動を展開している仏教徒リーダー達が集います。是非シンポジウムに参加し、一緒に日本社会に必要な新たな方向性を模索しませんか。開催にあたって 東日本大震災は、現代社会における経済開発中心主義が行き過ぎてしまったことを露呈した。近代化が進んだ日本社会で、人々が宗教に求めるものは何か。仏教的価値観は、今の社会に何を提示することができるのか・・・。 日時 2012 年11 月10 日(土) 13:00〜17:00 基調講演:スラック・シヴァラク氏(タイ・INEB 創立者) パネルディスカッション パイサン・ヴィサロー師(タイ・ブディカ仏教と社会ネットワーク) 釋惠敏師  (台湾・台湾臨床仏教研究所の創立者) 戸松義晴師  (日本・前全日本仏教会事務総長) 千石真理師(日本・京都大学こころの未来研究センター) 座長: ハルシャ・ナバラテナ ( スリランカ・INEB 理事長) <問い合わせ・予約先>E-mail : inebevent@gmail.com 主催 Japan Network of Engaged Buddhism (JNEB) 協力 孝道教団 参加費1,000 円/学生500円 要予約/定員 200 名(日英同時通訳付き。talks will be given in English with simultaneous Japanese translationContinue reading “2012年INEB理事会と公開シンポジウム 縁起の智慧と幸せの教え The Wisdom of Interbeing and The Art of Happiness”

震災と宗教を考えるシンポジウム2011

もうひとつの生き方を探る 特別基 調 講 演: A・T・アリヤラトネ (スリランカ・サルボダヤ会代表) 2011年3月11日、日本は千年に一度とも言われる未曾有の災害にみまわれました。加えて原子力発電所の事故により、多くの方が苦難の日々を今まさに過ごしています。突然家族を失った方々の深い悲しみ、住む家を追われ流浪の日々を送る方々の不安、それらの思いは察するに余りあるものがあります。 3月11日以後起こったさまざまな出来事は、被災地の方々のみならず、日本人すべてに大きな問いかけを発しているように思われます。それは、私たちの生き方そのものについての問いかけであるように受け止められます。 経済発展のみを目的としたグローバリゼーションは、世界的な規模で地域経済・共同体・伝統の崩壊を引き起こし、途上国における貧困・紛争・環境破壊はもとより、日本をはじめとするいわゆる先進国においても、格差社会などの問題を生み出してきました。モノ・カネを物差しとした目先の幸福を追求する価値観は、もはや限界に来ているように思われます。 3・11は、そのような私たちの生きる価値観そのものを問い直すよう促しているように思われてなりません。今回のシンポジウムでは、持続可能な共生社会を作るための新たな価値観を見いだし、宗教の可能性を考え、日本人が「もうひとつの生き方」を歩み出すためのきっかけ作りにしたいと考えます。そのことが、震災でお亡くなりになった数多くの方々のいのちをつなぐ、真の意味での供養になるものと信じるものです。 パネリスト: 玄侑 宗久(作家・政府復興構想会議委員) 杉浦 正健(弁護士・元法務大臣) 高木 慶子(上智大学グリーフケア研究所所長) 島薗進(東京大学教授、宗援連代表、実行委員長) コーディネーター:神仁(全青協主幹、実行委員会事務局長) 期日:2011年10月10日(月曜日・祝日) 13:00受付・13:30開会・17:00閉会 会場:大本山増上寺 大殿 地下1階「三縁ホール」(東京都港区芝公園) 参加費:1000円(協力金として) 主催:「震災と宗教を考えるシンポジウム2011」実行委員会 実行委員会事務局(全青協内) TEL:03-3541-6725 FAX:03-3541-6747 e-mail:gbs@zenseikyo.or.jp 呼びかけ団体: 一般社団法人サルボダヤJAPAN、公益社団法人シャンティ国際ボランティア会、財団法人 浄土宗報恩明照会、宗教者災害支援連絡会(宗援連)、 財団法人 全国青少年教化協議会(全青協)・臨床仏教研究所(実行委員会事務局) 講師&パネリスト プロフィール A・T・アリヤラトネ:スリランカ・サルボダヤ会代表。仏教精神による農村・地域開発の先駆者。世界各地でサルボダヤ・シュラマダーナ運動を提唱。スマトラ島沖大津波に際しては、物心両面で被災者のケアにあたり、新たなコミュニティーとしての「エコビレッジ」の建設などに取り組んだ。マグサイサイ賞、ガンディー平和賞ほかを受賞。 玄侑宗久:作家・花園大学客員教授。生死をテーマとして多くの作品を執筆。芥川賞・文藝春秋読者賞などを受賞。東日本大震災を受けて、政府復興構想会議委員などを務めている。 杉浦正健:弁護士・一般財団法人杉浦ブラムチャリヤ代表理事。小泉政権下で法務大臣を務め、在任中一貫して死刑命令執行書への署名を拒否し続けた。 高木慶子:上智大学グリーフケア研究所所長・上智大学特任教授。「生と死を考える会全国協議会」会長。震災や津波で家族を亡くした方々のグリーフケアを中心に積極的に活動を続けている。 島薗進:東京大学教授。日本宗教学会会長。シンポジウム実行委員長。東日本大震災を機に「宗教者被災地支援連絡協議会(宗援連)」を立ち上げ、宗教者の連帯による被災地支援を呼びかけている。 神仁: 臨床仏教研究所上席研究員、実行委員会事務局長。被災した子どもや高齢者のこころのケアにあたる他、「福島子ども妊産婦支援プロジェクト」を立ち上げ、全国の寺院への疎開を進めている。