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ポスト311を創る~
しあわせの開発学
7/24京都
7/26東京
311以後の世界をどうやって生きていくか。グローバリズムや競争社会、
消費主義にかわる、「つながり」や芸術や土に触れる時間を大切にする暮らし。
私たちは誰でも、それを手にすることができるのです。
「ポスト311を創る」シリーズは、様々な分野のカルチャー・クリエイティブ(文化創造者)たちを
お招きし、生き方=働き方・暮らし方を学びあう場。今回は、エンゲージド・ブディズムを提唱し、
東洋的な思想をもって社会変革に関わり、第28回庭野平和賞を受賞された、アジアを代表する
環境・平和活動家、スラック・シワラックさんをお迎えします。
スラックさんと辻信一さんを引き合わせたのは、最新作の映画「幸せの経済学」が話題の
ヘレナ・ノーバーグ=ホッジさん。地域住民や若い世代を巻き込んで、シャム(タイ)らしさ、
ローカルにこだわった社会変革モデルに、私たちが学ぶところは大きいでしょう。
辻信一さん翻訳による『しあわせの開発学ーーエンゲージド・ブディズム入門』(1000円+税、
ゆっくり堂)出版記念も兼ねての会。京都、東京の2ヶ所で開催します。
ぜひお誘いあわせの上、ご参集ください。
Sulak: Happines lies “beyond GDP” (BBC TV Hardtalk 6/28)
■京都イベント
日時:2011年7月24日(日)14時~16時(13時半開場)
会場:知恩寺内・端林院(京都市左京区田中門前町103-21)
http://www.eonet.ne.jp/~hyakusan/koutuu.html
ゲスト:スラック・シワラック(タイ、環境・平和運動家、作家)
聞き手・通訳:辻信一(文化人類学者、環境運動家)
参加費:学生1000円、一般1500円(500ナマケ使用可)
お申込み・お問合せ:ナマケモノ倶楽部 info@sloth.gr.jp
共催:ナマケモノ倶楽部、(有)ゆっくり堂
協力:JNEB、(株)素敬
■東京イベント
日時:2011年7月26日(火)18時半~20時半(18時開場)
会場:見樹院本堂(東京都文京区小石川3丁目4−14)
http://www.nam-mind.jp/access.htm
ゲスト:スラック・シワラック(タイ、環境・平和運動家、作家)
聞き手・通訳:辻信一(文化人類学者、環境運動家)
参加費:学生1000円、一般1500円(500ナマケ使用可)
お申込み・お問合せ:ナマケモノ倶楽部 info@sloth.gr.jp
共催:見樹院、ナマケモノ倶楽部、(有)ゆっくり堂
協力:JNEB、(株)素敬
■スラック・シワラック (Sulak Sivaraksa):
1933年生まれ。歯に布を着せぬ言論活動で知られるタイの代表的な知識人。社会批評家、学者、出版者、活動家として、1960年代末より、仏教僧侶や学生活動家たちと共に、奉仕活動を軸とする、農村の自立発展のための多数のプロジェクトに参画すると同時に、多くのNGO・社会的起業を創設してきた。タイ語と英語による書籍と論文は100点以上にのぼる。代表的な英文著作に、「Seeds of Peace: A
Buddhist Vision for Renewing Society(平和の種――社会変革のための仏教的ヴィジョン)」、「Conflict, Culture, Change: Engaged Buddhism in a Globalizing World (紛争
・文化・変化――グローバル化する世界のエンゲージド・ブディズム)」など。1995年、もうひとつのノーベル賞といわれる「ライト・ライブリフッド賞」受賞。2011年、第28回庭野平和賞受賞。
www.sulak-sivaraksa.org/(英語)
■辻 信一
文化人類学者、ナマケモノ倶楽部世話人。明治学院大学教授。 「100万人のキャンドルナイト」呼びかけ人代表。数々のNGOやNPOに参加しながら、「スロ-」や「GNH」というコンセプトを軸に環境=文化運動を進める一方、社会的起業であるスロービジネスにも積極的にとりくむ。著書多数。最新刊は『自然農という生き方~いのちの道を、たんたんと」』(大月書店)。訳書に『いのちの中にある地球ー最終講義:持続可能な未来のために』(NHK出版)。
www.sloth.gr.jp/tsuji/index.html
第28回庭野平和賞:
INEB創立者「スラック・シワラック氏」
公益財団法人庭野平和財団(名誉会長:庭野日鑛、理事長:庭野欽司郎)は、第28回 庭野平和賞を仏教国際連帯会議(INEB)を丸山照雄氏(天晴塾・法華塾主宰)と共同で設立した、タイ王国のスラック・シワラック氏に贈ることを決定いたしました。
スラック・シワラック氏は1933年、 タイのバンコクで生まれ、大学卒業後、1953年に英国に留学。英国では法律学を学び、法廷弁護士の資格を取得した後、1961年にタイに帰国します。帰 国後は宗教、文化、教育、環境、社会正義や公共福祉のための数多くの組織の設立に参加する他、教師、学者、作家、社会活動家、環境保護活動家として活躍し ています。
「第28 回庭野平和賞」を、在家の仏教指導者であり、その注目すべき多方面に渡る平和活動を高く評価し、スラック・シワラック氏に贈呈することを決定致しました。彼の活動は、仏教の基本的な教えに対する信仰に基づいた勇気、決断力、想像力、インスピレーションにより具体化されたものであります。彼は平和、民主主義、そして開発についての新たな理解の仕方を示し、タイをはじめ、アジア、さらに世界の政治指導者、学者、若者たちの、それらに対する考え方に影響を与え、その発展に貢献してきました。また、一番優先して救われるべき、貧しい人々が未だ取り残されているという現状に、強く異議を唱えています。彼は、その生涯をかけたひたむきで、献身的な活動によって、非暴力、平和、正義を教えとする伝統的な仏教に新たな命を与えました。
スラック・シワラック氏は1933 年、シャム(彼は自国をこう呼びます。)の華僑系の家に生まれました。タイで教育を受けた後、英国に留学し、法律や他の分野を学び、1961年に帰国しました。彼は生まれ持った知性を生かし、社会参画仏教の概念とその運動を長年に渡って推進してきました。
スラック氏は、数々の組織の創立者であり、また教師、学者、作家、活動家でもあります。これまでに、タイ語と英語で、100 以上の著書や論文を世に送り出しています。また、教育者として、伝統的文化や価値観に基づいた精神教育を推進する運動もしています。長年に渡り、若い指導者の育成と援助を行ってきた結果、現在では、その多くが様々な団体のリーダーとして貢献しています。
また、スラック氏は活動家としての立場で、権力に屈せず常に真実を語ってきました。本当の意味で社会に奉仕するためには、貧しい人々や草の根運動と常に身近な関係を築かねければならないと主張しています。彼の変革をもたらすための行動は、幾度も論議の的になり、問題視されてきました。彼はその強い精神力を持って、豊富な知識と徹底した非暴力主義の立場で、多くの政策提言をしてきました。彼が、タイの各地で市民を動員し、多くの社会福祉団体や開発組織を作ったことは広く知られ、高く評価されています。それらのすべては彼の活動においての重要な二つのテーマを具体化したものです。一つは、消費のみを中心とした開発を拒否すること。二つ目は、地元に根付いた文化や宗教的伝統習慣に基づく発展の仕方を推進することです。彼の作った団体や組織は変革のための固有的、持続的、そして精神的な見地から良いモデルになっており、現在、タイをこえ、世界的な広がりを持って活動しています。
スラック氏は宗教と政治に対しても、するどい洞察力を発揮しています。つまり仏教においての政治の重要性についてもよく理解しているのです。しかし、決して宗教の主要な役割というものから踏み出すことはありません。過去には、政治や社会の問題に対しての批判や抗議をし、何度も刑務所に拘置されました。この世に平和と正義をもたらすには、政治及び制度の変革が重要であることを信念に持っているのです。
そして、もう一つの重要な受賞理由は、環境問題への取り組みにあります。環境保全と環境正義を推進し、環境破壊に対し強く反対しています。“ セキヤダンマ”(Sekhiyadhamma:ダンマの学生)というネットワークに参加している仏教僧は、各自の地元でその環境保護活動、特に村の経済活動にとって重要な森林を保存するという運動をしています。スラック氏の取り組み方の特長は、教育、つまり、村人に天然資源のより良い使用法や節約の仕方を教えることと、商業化、工業化そして都市化による侵食から、地元の社会、文化や自然環境を守るための政治的活動を結合したことです。彼の考える環境倫理は、仏教の縁起観に対する理解と自然への深い尊敬の念に根ざしています。「Inter-becoming」(この世のすべては相互に影響しあって存在する-ティク・ナット・ハン師の言葉から借用-)という精神は、意識的な覚醒により成されるということです。スラック氏は、様々な困難にも物怖じせず、正義のため、積極的に問題に立ち向かい戦っているのです。
スラック氏は、仏教原理やその実践方法を自身の人生や政治的な活動においても役立てています。精神的に熟考する内面生活と、政治的な外面生活は、おたがいに反目しあい、敵対するものと捉える必要はないと、彼の人生そのものが語っています。それどころか、それらお互いが啓発し合い、知識を交換し合い、勇気づけあうことができるのです。スラック本人は、質素で、親切で、愛情に満ちた人物です。無私ということが彼の持つ世界観の中核にあるようです。
彼は、互いへの思いやり満ち、そして持続的かつ公正な国際社会を築くため、道徳上の指針として、仏教の五戒を推進しています。不殺生の今日的意味はあらゆる形態の暴力の終焉であります。盗みをしないということは、地球規模の経済的正義への呼びかけになるでしょう。性的不品行を止めれば、男性が支配し、女性を食い物にしたシステムが見直されるのです。虚偽の演説を禁ずることによって、国際レベルで、誠実さの重要性を呼びかけられます。アルコールや薬物の乱用や過度の依存を避けることは、それらの使用とその原因究明に対する国際社会の責任を問うことの呼びかけになるのです。スラック氏の考える仏教徒としての社会のあり方は、すべては個人から始まるというものであり、個々の精神的な成長により、社会における正義が実現するというものありです。
スラック氏は、世界の宗教間での対話や協力活動において指導的な発言者であり、平和活動の世界的リーダーとしても知られています。彼は、常に、相互依存関係は必要不可欠で血の通っている、生きた概念であると主張しています。彼の主張は合理的で倫理的です。人間の尊厳にかかわる具体的な問題に焦点をあて、権力に対しても真実を話し続けているのです。彼は環境問題の倫理的課題を論文で取上げ、地球的規模での議論の俎上に乗せた初期の指導者の一人でありました。彼の声は多くの人に届き、かれらの考えに影響を与えました。そのことは彼の活動がたくさんの称賛や評価を受けていることに反映しています。1995 年に受賞した“もう一つのノーベル賞”として知られる「ライト・ライブリフッド賞」もその具体例の一つです。
スラック氏は、仏教を問答する方法として考えています。自分のことを含めたすべてに関して疑問を持ち、深くものを見て、それによって得た見識によって行動しなさいと仏教は教えます。彼は、宗教や精神性の社会的側面を復活させようと、世界的に活躍する数少ない指導者の一人です。彼の活動やその方法は、どのような方法であれ、その中心には、タイのみならず世界中のあらゆるレベルにおいて変革をもたらすための、新しい形のリーダーシップを築くという使命があるのです。