もうひとつの生き方を探る
特別基 調 講 演:
A・T・アリヤラトネ
(スリランカ・サルボダヤ会代表)
2011年3月11日、日本は千年に一度とも言われる未曾有の災害にみまわれました。加えて原子力発電所の事故により、多くの方が苦難の日々を今まさに過ごしています。突然家族を失った方々の深い悲しみ、住む家を追われ流浪の日々を送る方々の不安、それらの思いは察するに余りあるものがあります。
3月11日以後起こったさまざまな出来事は、被災地の方々のみならず、日本人すべてに大きな問いかけを発しているように思われます。それは、私たちの生き方そのものについての問いかけであるように受け止められます。
経済発展のみを目的としたグローバリゼーションは、世界的な規模で地域経済・共同体・伝統の崩壊を引き起こし、途上国における貧困・紛争・環境破壊はもとより、日本をはじめとするいわゆる先進国においても、格差社会などの問題を生み出してきました。モノ・カネを物差しとした目先の幸福を追求する価値観は、もはや限界に来ているように思われます。
3・11は、そのような私たちの生きる価値観そのものを問い直すよう促しているように思われてなりません。今回のシンポジウムでは、持続可能な共生社会を作るための新たな価値観を見いだし、宗教の可能性を考え、日本人が「もうひとつの生き方」を歩み出すためのきっかけ作りにしたいと考えます。そのことが、震災でお亡くなりになった数多くの方々のいのちをつなぐ、真の意味での供養になるものと信じるものです。
パネリスト:
玄侑 宗久(作家・政府復興構想会議委員)
杉浦 正健(弁護士・元法務大臣)
高木 慶子(上智大学グリーフケア研究所所長)
島薗進(東京大学教授、宗援連代表、実行委員長)
コーディネーター:神仁(全青協主幹、実行委員会事務局長)
期日:2011年10月10日(月曜日・祝日)
13:00受付・13:30開会・17:00閉会
会場:大本山増上寺 大殿 地下1階「三縁ホール」(東京都港区芝公園)
参加費:1000円(協力金として)
主催:「震災と宗教を考えるシンポジウム2011」実行委員会
実行委員会事務局(全青協内)
TEL:03-3541-6725 FAX:03-3541-6747
e-mail:gbs@zenseikyo.or.jp
呼びかけ団体:
一般社団法人サルボダヤJAPAN、公益社団法人シャンティ国際ボランティア会、財団法人 浄土宗報恩明照会、宗教者災害支援連絡会(宗援連)、
財団法人 全国青少年教化協議会(全青協)・臨床仏教研究所(実行委員会事務局)
講師&パネリスト プロフィール
A・T・アリヤラトネ:スリランカ・サルボダヤ会代表。仏教精神による農村・地域開発の先駆者。世界各地でサルボダヤ・シュラマダーナ運動を提唱。スマトラ島沖大津波に際しては、物心両面で被災者のケアにあたり、新たなコミュニティーとしての「エコビレッジ」の建設などに取り組んだ。マグサイサイ賞、ガンディー平和賞ほかを受賞。
玄侑宗久:作家・花園大学客員教授。生死をテーマとして多くの作品を執筆。芥川賞・文藝春秋読者賞などを受賞。東日本大震災を受けて、政府復興構想会議委員などを務めている。
杉浦正健:弁護士・一般財団法人杉浦ブラムチャリヤ代表理事。小泉政権下で法務大臣を務め、在任中一貫して死刑命令執行書への署名を拒否し続けた。
高木慶子:上智大学グリーフケア研究所所長・上智大学特任教授。「生と死を考える会全国協議会」会長。震災や津波で家族を亡くした方々のグリーフケアを中心に積極的に活動を続けている。
島薗進:東京大学教授。日本宗教学会会長。シンポジウム実行委員長。東日本大震災を機に「宗教者被災地支援連絡協議会(宗援連)」を立ち上げ、宗教者の連帯による被災地支援を呼びかけている。
神仁: 臨床仏教研究所上席研究員、実行委員会事務局長。被災した子どもや高齢者のこころのケアにあたる他、「福島子ども妊産婦支援プロジェクト」を立ち上げ、全国の寺院への疎開を進めている。